サイド攻撃で引いた相手を崩す方法|現代サッカーの教科書より
サイド攻撃という名のクロス攻撃
日本代表。シンガポール戦、カンボジア戦と引いた相手を崩せず、見苦しいサッカーをしてしまいました。
引いてブロックを作る相手に対しては、監督はもちろん、テレビの解説者も「サイド攻撃」が重要だと言います。
しかし、この2試合の日本代表のサイド攻撃は「クロス攻撃」でした。
例えば攻撃参加したサイドバッグが、相手と1対1の状態になり、なんとかかわしてクロス(センタリング)。こんなイメージです。
しかし、ゴール前はこの状態です・・・
このクロスでは、ディフェンスにとって有利な条件が多く、
- ゴール前で大人数で待ち構えている
- この状態であればクリアするだけなので、技術は必要ない
- 待ち構えるディフェンスにとって、ボールが入ってくるタイミングが分かりやすい
- クロスの距離が長く、ディフェンスは準備する時間がある
攻撃側にとっては簡単な状況ではありません。
- クロス(キック)の精度が必要
- クロスに合わせるシュートの難易度が高い
いくらヘディングの岡崎選手がいても、得点の匂いがしません。むしろ、クロスのタイミングで「やめてくれ~」と言いたくなります。
もちろん、こうした形からの得点はたくさんありますが、もし「現代サッカーの教科書」という教科書があれば、その最新版に掲載されているのは、次のようなサイド攻撃です。
現代サッカーの教科書|サイド攻撃編
ディフェンス(白)は、しっかりブロックを作った状態。「美しい」と言いたくなるようなディフェンスラインです。
右サイドでボールを持つ赤10はドリブルが得意な選手ですが、さすがにこの状態では無理です。
大外に開き、走りだす赤18に大きなサイドチェンジとなるパスを送ります。
ディフェンス陣(白)はサイドチェンジに対してスライド。
パスを受けた赤18は寄ってきた赤11に折り返し。すでにペナルティエリアの中なので、ディフェンスはボール(赤11)に終結。
赤11は無理してゴールに向かわず、ボールをキープ。相手を3人引きつけたことにより、(ゴール前にしては)大きなスペースができました。
赤11からスペースに走り込んだ赤8にパス。
この時点でディフェンス4人が置き去りになってます。「ヤバい」って叫んでるかもしれません。
まじヤバいです。
赤8はファーストタッチからドリブル。ゴール前にいたセンターバッグが慌てて寄せます。
センターバッグが赤8に寄せたことで、ゴール正面にスペースが出現。
このスペースを埋めなければいけない白の選手が、ボールウォッチャーになってしまってます。
開いたスペースに入った赤4に、赤8からマイナスのボール。
遅れたディフェンスが寄せてますが、赤4は簡単にダイレクトでシュート。ゴール。
この得点、チャンピオンズリーグ決勝(2014-15)のバルサの先制点を例に、教科書の「サイド攻撃」の章にこのように書いてあってもおかしくありません。
- 引いてブロックを作られたら、サイドチェンジでブロックの外を使う
- ディフェンスをスライドさせて、ディフェンス間を広げる
- ペナルティエリア外からの浮玉クロスより、ペナルティエリア内、ゴールライン付近からのグラウンダーのマイナスのクロスを狙う(シュートが簡単になる)
高校生でも知ってることですが、日本代表もできてません。
また、この得点にスーパーなプレーは絡んでません。
日本代表クラスの選手であれば問題なくできるプレーではないでしょうか。
しかし、同じサイド攻撃でもカンボジア戦の日本代表のサイド攻撃は、教科書とは全く異なるものでした。
(主にカンボジア戦での感想です。その後のアフガニスタン戦では有効なサイド攻撃が見られました)