2対2|狭いスペースで大人数が同時プレーできるミニゲーム
もし事前の準備なしで、小学3,4年生、30人のトレーニングを1人で担当することになったら、あなたならどうしますか?
とりあえずリフティング?
コーンドリブルや対面パス?
ドリル形式の基本練習では、ワイワイ・ガヤガヤ。収拾がつかなくなり、「しっかりやれ!」って怒鳴ってばっかりになりそうです。
当然、選手も楽しくなくなるので、「→集中が切れる→怒鳴る」の悪循環に陥るでしょう。よくある光景です。
そんな時におすすめしたいのが、シンプルな2対2。ラインゴールのミニゲームですので、ミニゴールやコーンも不要。マーカーがあれば十分です。
Tiki-Takaスタイルは、パスをポンポンつなぐスタイルですが、「パス」の練習ではなく、「サッカーをする」ことを優先させます。
2対2では、「幅」も「奥行き」も取れませんので、実際のゲームに近い状況(サッカー)とは言えません。しかしその点を差し引いても、とても効果的な練習です。
特に人数が多い場合、スペースが限られている場合に、小学生はもちろん、中学生、高校生にもおすすめします。
2対2のルール
- 二人組で協力して、ラインをドリブルで超えれば1点
- ドリブルはしっかりコントロールされていなければいけない。蹴って、走って、止めても無効
- 点数を競い、勝ち負けを決める
グリッドの大きさは柔軟に変更してください
グリッドの大きさは、選手の年齢と使えるスペースに合わせて調整してください。
目安として、小学3,4年なら12*15m、5,6年で15*20mくらい。このサイズでしたら、大人用ピッチの4分の1のスペースで、12グリッド、48人が同時にプレーできます。
何の変哲もない2対2で練習を盛り上げる方法
この2対2を行うにあたって大切なことは、2人組の「チーム」の決め方です。
何も指示がなければ、小学生なら、「強い者」同士が組んで、圧倒的に点数をとって、練習が白けてしまうでしょう。ですので、以下の方法で行ってください。
- 最初は自由に二人組を作って、対戦相手を見つけて、グリッドに入ります
- 1試合目が終わった時点で、勝ち負けを決め、勝ち・負けによって移動する方向を決めます。下図では、勝ったチームの2人が一つ右方向へ、負けたチームの2人は左方向へ移動
- 右端、左端を、「チャンピオンズリーグ」「J3」などと、レベルの差がある名称をつけると、わかりやすくていいでしょう。
ゲーム開始時は[a-1,a-2]対[b-1,b-2]、[a-3,a-4]対[b-3,b-4]です。
1試合目は、各グリッドで[a]のチームが勝ったと仮定します。
[a]は勝ったので右方向、[b]は負けたので左方向へ移動します。移動した後、チームメート(a-1とa-2)で「ジャンケン」して、勝った選手同士、負けた選手同士のチームになります。
具体的に見てみましょう。
【a-1,a-2】勝ったので右へ移動
【a-3,a-4】勝ったので右へ移動
【a-5,a-6】勝ったので右へ移動
【a-7,a-8】(最上位で)勝ったので移動なし
【b-1,b-2】(最下位で)負けたので移動なし
【b-3,b-4】負けたので左へ移動
【b-5,b-6】負けたので左へ移動
【b-7,b-8】負けたので左へ移動
この時点で左端には【b-1,b-2】と【b-3,b-4】が入ってます。チームメート同士でジャンケンしてチーム替えを行います。
b-1とb-2でジャンケン(b-1勝ち、b-2負け)
b-3とb-4でジャンケン(b-3勝ち、b-4負け)
2試合目はジャンケンに勝った同士【b-1,b-3】が新たなチームメートとなり、
ジャンケンに負けた同士【b-2,b-4】と対戦します。
*「グーとパー」ではなく、「ジャンケン」にしてください。
2対2は知らない人がいない練習メニューですが、このチーム分けをご存じの方は少ないのではないでしょうか?
- 2試合目で組合せがバラバラになります
- 常に違う選手とチームメートになり、勝負にこだわることで、自然にコミュニケーションが発達します
- 一定回数のゲームをすると、同じ能力の選手同士が対戦、チームメートになるため、ミスマッチが少なくなります
- 「お山の大将」的な選手も、チームメートと協力しないと勝てない状況になります
など等。この方法は、チームの雰囲気を良くする効果があります。
コーチの役割
- コーチのもっとも重要な仕事は、「球拾い」です。グリッドの周囲に予備のボールを準備。外へ出たボールを回収して選手がボールを取りに行かなくてすむようにしてください
- 勝ち負けにこだわるように声をかけます
- 厳しいディフェンスを求めます
- ラインゴールなので、ゴールに「入った」「入らない」でもめますが、我慢して口出ししないようにしましょう。練習を重ねる毎に、もめる回数は少なくなります
- いつもJ3にいる選手には、這い上がっていくようハッパをかけます
あえて戦術的な動きを説明するなら
2対2ですので、グループ戦術的な要素はあまり出てこないのですが、次の3点は確認しておくといいでしょう。
相手を動かすドリブルでスペースを作る
ボール保持者がドリブルで意図的に相手を動かして(引きつけて)、スペースを作り、
もう1人がそのスペースへ入る。
ワンツー
ワンツー(壁パス)の機会が無数にあります。何回でもチャレンジして、失敗して、パスの角度、強さ、リターンを返さない方がいい場合など、ゲームの中で学びます。
スクリーンとスイッチ
ボール保持者がボールを守りながら、味方選手にボールを渡す動きですね。
コーチには我慢が必要です
最初の数回は、移動とチーム替えに時間がかかって、見てるだけでイライラするかもしれません。しかし、5回もすればスムーズになります。
また、ゴールに「入った」「入らない」、ラインから「出た」「出ない」で必ずモメます。最初は自分の主張を強く通す選手が有利に働き、とげとげしい雰囲気になるかもしれません。これに対しても黙って見守りましょう。数ヶ月かかるかもしれませんが、自然に解消されます。
よくある質問
Q:1回のゲームは何分が適当ですか?
小学3年生は2~3分。5,6年は3~4分。中学生以上は5分程度を目安にしてください。最も集中できる時間を見つけて行ってください。
Q:ゲームの回数はどれくらいが適当ですか?
目安はありません。
極端な例では、練習のスペースがなくて、選手の人数が多く、コーチが1人しかいない(他の練習メニューが考えられない)状態で、選手がゲームに集中しているようなら、1時間でもいいでしょう。
Q:人数が余る場合、どうすればいいですか?
1人、2人余る場合は、休み兼球拾いにしてください。
3人余る場合は、3人で2対1をやりましょう。1人の方に5点くらいハンディをつけるといいでしょう。
2対2のまとめ
- 大人数でも効率よくボールに触れる
- 省スペースでも可
- 選手はゲーム(=練習=サッカー)に集中する
- チーム内のコミュニケーションが発達する
- チーム内の雰囲気が良くなる
- 1人当たりのボールに触れる回数が多い
- 運動量が多い(たっぷり汗をかきます)
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