ロングスローの多用がサッカーをつまらなくする2つの理由
強豪チームがロングスローを一つの武器にして高校選手権で優勝して以来、高校サッカーでもロングスローを多発するチームが全国的に増えているのでしょうか?
ロングスローを投げられる選手がいるのなら、「武器を使わない手はない」と監督さんは言われるでしょう。しかし明かな格下相手に、試合開始直後からロングスローを連発する試合を見て、ウンザリしました。
ロングスローは有効な武器でも・・・
昔、イングランド・プレミアリーグで文字通り矢のようなロングスローを投げる選手がいて、話題になりました。名前は忘れてしまいましたが・・・7-8年前だったと思います。
そのロングスローからの1点で勝ち点3を上げたり、土壇場で同点に追いつく試合もありました。
試合を決めてしまうほど有効だったロングスローですが、その後プレミアリーグでも他の主要リーグでも、主流にはなりませんでした。その選手が高額で移籍したという話も聞かなかったと思います(未確認)。
トッププロの選手がその気になれば、日本の高校生より強力なスローインができるはずなのに、多発しないのは何故でしょうか?
もちろん、「長いスローイン」は見かけますが、相手ゴール前の密集地帯に向かって投げるロングスローは、それほど見かけません。
(*「ロングスローの回数」というデータはあるのでしょうか?ご存知の方はぜひ教えてください。)
レベルの高いリーグでロングスローが多発しない理由を一言で言えば、「つまらない」からでしょう。
勝つためには有効かもしれませんが、サッカーを確実につまらなくしていると思います。
その理由は、
1.プレー時間が短くなる
ロングスローは普通のスローインより投げるまでに時間がかかります。仮に投げるまでに10秒、投げてから落下地点に落ちるまで2秒とすれば、ロングスローを5回投げるだけで1分間も多く時間を使うことになります。
特定の選手がロングスローするために、その選手の反対サイドのスローインも投げにいくような場合・・・反対サイドまでジョギングする時間もありますね。プラス10秒。
自陣ベンチの近くからのスローインで、ベンチからタオルが出てきてボールを拭いてるチームも目撃しました。プラス2秒。
ゴール前のポジション争いをめぐって、プレーを止めて審判が注意する場面もしばしば。プラス5秒・・・・
90分ゲームでは、1人の選手が直接ボールに関わる時間は2分しかありません。そう考えると、どれだけの時間を無駄にしてるのか、よくわかります。
⇒ロングスローの回数が増える分、プレー時間はますます短くなってしまう。2.単調になる
さらに、ロングスローを投げた後のプレーがまたよくありません。
ゴール前まで飛んできたボールは、(1)ゴールキックになるか、(2)コーナーキックになるか、(3)ディフェンスがクリアするか、(4)得点になるか、ほぼこの4つ。どの場合も一旦プレーが切れてしまいます。
ロングスロー⇒コーナーキック⇒コーナーキック⇒ゴールキック
という流れも珍しくないはず。
結局得点にもならないこの時間帯は単調で退屈。夜中のTV観戦でこういうシーンが続くと寝落ち確定。
⇒ロングスローの回数が増える分、ゲームが単調に見える。ロングスローが有効ならロングゴールキックもアリ?
ロングスローが有効なのは、オフサイドがないので相手ゴールエリア内で勝負できるからです。
ゴールキックもオフサイドがありません。
近い将来、フィジカルを鍛えキック力を磨くことで、ゴールキックが相手ペナルティエリア内まで届くようになるかもしれません。
そうなると、武器を使わない手はありませんからね。「ロングゴールキック」を武器にするチームの誕生です。
・・・フットボールはどこへいくのでしょうか?
そもそも、フィールドプレイヤーが例外的に手を使うことを認められたスローインは、サッカーの本質とは関係の薄いプレーのはず。
年々レベルが上がって面白くなる現代サッカーですが、ロングスローは、サッカーを面白くしている要因では全くないのです。