くさびのパスを意識したロンド
青チームのビルドアップの局面です。
青1は青2へのパスコースを見つけましたが、
「縦パス」を察知した黄1が少し絞り、門を狭くしました。
パスコースはありますが、キックのちょっとしたズレで、引っかけてしまうシーンです。
縦パス(くさび)を意識したロンド
このパスの精度を上げることを意識したロンドを紹介します。
図のようなグリッドで、3対1のスペースを2つ作ります。
青と赤がボールを保持し、黄色はディフェンス。ディフェンスは基本は各スペースに1人づつ入ります。
真ん中のディフェンスは縦パスのインターセプトを狙います。
青は3対1でボールを保持しながら、縦パスを入れるチャンスを探します。
この際、パスの質、受け方の質にこだわってください。例えば青2から青3へのパスの質、受け方の質によって、次の縦パスの成功率も変わってきます。
詳しくは3対1のロンドを参照してください。
くさびのパスの基本は、グラウンダーで強い(速い)パスです。
ディフェンスによってパスコースを消された場合、あるいは難しいパスコースになってしまった場合は、ボールポゼッションを優先します。ビルドアップの局面では、まずマイボールを失わないことが大切です。
ディフェンス(黄)の状況を見て、無理なら「やり直し」で、反対サイドからの縦パスを狙います。
ディフェンスのバリエーション
ディフェンスが3対1でボールを奪えない場合、あるいは「もう少しプレスをかければ奪えそう」と判断した場合、3対1を「3対2にしてもよい」というルールに変更してみましょう。
黄2がチャレンジして前に出ます。同時に黄3も前に出ます。
ただ、ディフェンスが前に出てチャレンジした場合、後ろのスペースで圧倒的に数的不利になりますので、このようなポジションでは簡単につながれて、縦パスを通されてしまうでしょう。
ディフェンス3人が連携して、効果的なポジションを取れば、ボールを奪えなくても、簡単に縦パスを通されることはなくなります。
攻撃側のバリエーション1
縦パスを浮球に限定する。
くさびのパスはグラウンダーが基本ですが、「絶対」ではありません。相手にうまく守られた場合、浮球のパスが必要なこともしばしばあります。
縦パスは「浮球のみで」というルールにしてみましょう。
浮球の処理には時間がかかりますから、ディフェンス側はそこを狙い目にして、ポゼッション側へのプレッシャーを強めます。
浮球を受けようとする赤1に対して、ディフェンスが寄せてますので、赤2は(例えばヘディングでパスをもらえるポジションで)赤1をサポートします。
攻撃側のバリエーション2
縦パスをダイレクトパスに限定する。
ディフェンス側は常にくさびのパスを警戒してます。
そのため、わかりやすいタイミングでくさびのパスを出そうとすると、パスコースを消され、マイボールを失ってしまいます。
速いパス交換からダイレクトでのくさびのパスを狙いましょう。
「無駄なパス」の効果
「なぜボランチは無駄なパスを出すのか?」というタイトルの本がありますが、無駄なパスがどのように活かされるか、縦パスの場面を例に見てみましょう。
冒頭のシーンで縦パスを引っかけた場面です。黄1が少し中に絞ったため、パスコースが狭くなり、縦パスを奪われてしまいました。
先程失敗した青1は、青2へのパスコースを見つけつつ、一旦青3へパスを出します。
この無駄なパスで黄1は青3に寄せざるを得ません。
青3は青1にリターン。
青1は黄1が中に絞る時間を与えず、ダイレクトで青2へ縦パスを通します。
先程より門が広い分、パス成功の確率が高くなります。
このように、キックの精度を上げる同時に、縦パスのパスコースを作る(広げる)ことも意識してトレーニングしてください。
また、縦パスを入れる練習も参照してください。