4対4のミニゲームはサッカーそのもの|練習メニューの中心に
ヨーロッパの育成現場では、「サッカーに必要な要素を、練習から取り除かないようにする」という、オランダ発のコンセプトが主流です。「サッカーでサッカーを学ぶ」ともいいます。
「サッカーに必要な要素」とは次の4つです。
1.ボール
2.相手(と味方)
3.ゴール(方向性)
4.適切なスペース
一つ一つイメージしていただければ、すぐお分かりいただけます。これら4つのうち、一つでも欠けるとサッカーではなくなります。
- ボールがなければ、サッカーではありません
- 相手と味方がいなければ、サッカーではありません
- ゴール(攻守の方向)がなければ、サッカーではありません
- 適切な広さのスペースがなければ、サッカーではありません
しかし、私たちがよく見るサッカーの練習では、これら4つの要素が欠けたトレーニングが多いのが現状です。
例えば、
- 二人向かい合ってのパス交換には「相手」「ゴール」がありません
- 複雑なルールのパス&コントロールにも「相手」「ゴール」がありません
- コーンドリブルには「相手」「ゴール」「スペース」がありません
- グランド○周という素走りには、4つのうち、何もありません
全ての練習に4つの要素が必要というわけではありませんが、4つのうち3つは必要という基準で、練習メニューを見直してみてはどうでしょうか?
このようにサッカーに必要な4つの要素を意識すると、「ゲーム」に行きつきます。しかし、11対11や8対8のゲームでは効率が悪く、練習スペースを考えても現実的ではありません。
ゲーム形式の練習で最も効率的でリアリティのあるのが4対4です。
【4対4をおすすめする理由】
幅と深みを意識できる
4人で1-2-1の形でポジションを決め、3つのラインで幅と深みを意識したポジションを取ります。3人ではトライアングルの形はできますが、菱形になりません。
実際のゲームの場面を想定しやすい
低い位置からのビルドアップを志向するチームであれば、以下の場面を打開する能力は必須です。この場面は4対4そのものです。
GKからセンターバックがボールを受け、サイドバックが高い位置を取り、MFとFWで菱形のポジションでパスコースを作ります。
8人制の場合でも、同様です。
1-2-4-1の場合で見てみましょう。
基本の形からビルドアップする場合、
CBがボールを持って、FWがビルドアップに参加します。
逆サイドでFWのスライドが間に合わない場合、ボールサイドのMFが高い位置を取り、もう一人のMFが斜め前のパスコースを作ります。
このように、4対4には幅と深さがあるため、実際のゲームをイメージしやすい形といえます。
ボールタッチ数が多い
4対4と8対8では、1人当たりのボールタッチ数は2倍以上の差で4対4が多くなります。
止める、蹴る、運ぶ。何回も何回も繰り返しボールに触れることで、ゲーム形式の反復練習にします。
運動量が多い
チームに4人しかいません。1-2-1でポジションを決めますので、どこにも隠れることができません。サボれません。必然的に運動量が多くなります。
実戦感覚(ゲームの流れを読む力)が養われる
対戦相手と自チームの実力、ポジションのかみ合わせなど、実際のゲーム同様に対戦相手を意識しながらプレーするといいでしょう。実力が上の相手に対して、守備的に挑むのか、攻撃的に挑むのか。点差によって戦い方を変えるか。残り時間はどうなのか。ピッチのコンディションなどなど。
楽しいから集中できる
ゲーム中はコーチの話を聞いたり、順番待ちをしたり、ダラダラした雰囲気になりにくい時間です。もし4対4のミニゲームでダラダラした雰囲気になるようなら、その日は練習を中止にしてもいいかもしれません。
勝負にこだわることからスタート
もし選手がゲームの勝ちにこだわってプレーしなければ、上記の4対4の長所が活きてきません。
ゲームは常にチームメートと協力して勝負にこだわる雰囲気を作ります。ゲーム毎に勝敗をはっきりさせ、勝ち点を積み上げていく方法で盛り上げてください。