腰痛予防に体幹トレーニング|インナーマッスルを鍛える腰痛改善メニュー
体幹トレーニングと腰痛の深~い関係
腰痛予防・改善に体幹トレーニングでローカル筋を鍛えてみよう
「腰痛には腹筋と背筋を鍛えたほうがいい」
腰痛に悩むあなたへのアドバイスで、そう言われたことはないでしょうか?
間違いではないですが、おそらく根本的な解決にはなりません。
早稲田大学スポーツ科学学術院教授で、オリンピック日本代表帯同ドクターでもある金岡恒治先生によれば、
(出典:「ターザン(2015/2/12)」)
以下、なぜローカル筋(インナーマッスル)が腰痛予防にいいのか?どうやってインナーマッスルを鍛えるのか?紹介します。
体幹と腰痛の関係を知って、シンプルな体幹トレーニングによる腰痛予防と改善メニューをお試しください。
注意!「見える腰痛」の場合は体幹トレーニングが逆効果になることも
ただし、腰痛の種類によっては体幹トレーニングが逆効果になることもありますので、ご注意ください。
腰痛には「見える腰痛」と「見えない腰痛」の2種類あります。もちろん人目ではなく、レントゲンやMRIで異常が見えるかどうか。
見える腰痛は「椎間板ヘルニア」や「腰痛すべり症」などのそれらしい名前がつきます。名前がつけば、治療方法もありますので、あとは医者にお任せしましょう。この場合、自己流のストレッチや運動が逆効果になることもありますので、ご注意ください。
一方の見えない腰痛がやっかいです。
画像でも人目にも異常が見えません。多くの人が悩むのはこの「見えない腰痛」。全体の85%とも言われます。
原因が見えない。わからない。治療も特にない・・・ 我慢するだけなら、体幹トレーニングを試してみてはいかがでしょうか?
なぜ体幹を鍛えると腰痛予防・改善になるのか?
現在のように「体幹」がアスリートのみならず、一般の気軽な運動に広まる前は、理学療法士が腰痛軽減のアプローチとして、「体幹トレーニング」を行っていました。
腰痛の原因はさまざま。むしろ原因がハッキリしないことがほとんどです。
椎間板がすり減ったことで痛みが発生します。腰椎自体の器質的な変化が原因のことも。また筋力の低下が痛みを引き起こしていることもあります。
そこで、体幹トレーニングによって、緩んだ体幹の筋肉を固め、腰を安定させ、痛みを軽減させるわけです。
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腰痛予防・改善と体幹トレーニング
腰痛は、骨や関節に過度な負担がかかり、筋肉が疲労してしまうと、体のバランスがとれなくなり痛みが生じます。
また、運動不足や老化現象で「背骨を支える筋肉」が衰えることも、腰痛の原因になってしまいます。
もう少し詳しくみてみましょう。
頭から骨盤の間には、首の骨(頸椎)、首の下の背骨(胸椎)、背骨の腰部分(腰椎)があり、合計24個の椎骨が積み上げられています。これら椎骨は椎間板というクッションによって連結し、筋肉やじん帯で補強されています。
(参考:小林敬和,山本利春「スタビライゼーション(ベースボールマガジン社)」)
先に述べた「背骨を支える筋肉」とは、この辺りの筋肉のことです。
背骨全体は若干のS字カーブとなっており、腰部分(腰椎)では、体の前に向かって曲がっています。背中の筋肉が張っていたり、腹筋が弱くなると、この曲がりが強くなり、腰痛が発生しやすくなります。
事実、腰痛の7~8割は腰椎の4番目と5番目で起きています。5つの骨についているローカル筋が収縮すれば、5つの骨を1つの関節のようにしてくれるので、負担が均等に分散するのです。
(参考:金岡恒治「コーチングクリニック2017年10月号(ベースボールマガジン社)」)
だからと言って、筋トレで腹筋を鍛えればいいというわけではありません。 なぜなら、腹筋は腹筋でも、背骨をサポートするためのメインの筋肉は、筋トレでは鍛えにくい筋肉だからです。
さらに、詳しくみてみましょう。
背骨を支えるのに大きな役割を果たしているのが、「ローカル筋」と呼ばれる筋肉です。ローカル筋は背骨に直接くっついている筋肉で、骨を支えるのに大きな役割を果たしています。
このローカル筋が弱くなると、身体を安定させるために腰椎や骨盤に余計な負担がかかり、腰痛の原因になります。
ローカル筋の中でも腰痛予防には「腹横筋(ふくおうきん)」「多裂筋(たれつきん)」を鍛えることが大切です。
腹横筋と多裂筋の働き
腹横筋は腰椎と骨盤にくっついている筋肉で、コルセットのようにお腹の周りをグルっと巻くような形。体が動き始める時に、最初に動き出すという特徴があります。
腰痛予防・改善のキーとなる腹横筋
腰痛予防・改善のキーとなる多裂筋
多裂筋とは、背骨一つ一つに羽のようについている小さな筋肉。背骨の動きを制御します。
突然バランスを崩した時、お腹がピクッとしますよね?
あれは、腹横筋と多裂筋がいち早く動いて体幹を固めて背骨のブレを防いでいるそうです。体幹を固めて、背骨を守るのが腹横筋と多裂筋の役割です。
腰痛予防・改善は腹横筋と多裂筋。しかし、多裂筋なんて、どうやって鍛えればいいのでしょうか??
まずは体幹トレーニングの基本ドローインから
まずは体幹トレーニングの基本、ドローインから始めましょう。ドローインの感覚を掴めばその他のトレーニングの効果も上がります。
ドローインの正しいやり方
- 仰向けでひざを立て、左右の下腹部に手をあてる
- 背中を床に押し付けるように、おへそを引き込んでいく
お腹の手を当てたあたりがキュっと固まった感覚を掴めましたか?
腹横筋と多裂筋に効く体幹トレーニング
では次に体幹トレーニングを行ってみましょう。
体幹の深いところにある「腹横筋」「多裂筋」をメインとした筋群の働きを高めるために、静的な体幹トレーニングが中心になります。
ストレッチを併用しながら、慎重にトレーニングしてください。
まずは、基本の3種類から始めましょう。
ハンドニー
- 両手両ひざの4点で体を支える
- 両手は肩幅で肩の真下につく
- ひざも肩幅でお尻の真下になるように
- 背中が真っすぐし、体の内側に四角形を作るイメージ
- ゆっくり、片手を床と平行になるようにまっすぐ伸ばす
- あごをあげない。引かない
- 上げた手と反対の足を後ろに伸ばす
- 床と水平になるように
- 伸ばす動作はゆっくり
- この状態を8秒キープ。左右2~3回繰り返す
エルボーアウトフット(1)
- 腕(肘から下)と足の外側で体を支える
- 肘は肩の真下に。体と床で直角三角形を作るイメージ
- この状態を8秒キープ。左右2~3回繰り返す
エルボートゥ
- 肘から下の腕とつま先で体を支える。腕、足は肩幅で
- お腹をへこませて(腹圧を上げる)腹筋を締める(ドローイン)
- ゆっくり右手と左足を上げながらまっすぐ伸ばす。床と水平になるように
- 手と足を同時に動かすことが難しい場合は、手→足の順で行う
- この状態を8秒キープ。左右2~3回繰り返す
- 難しい場合は、慣れるまで手だけ上げる
ここまでが基本の3種類です。慣れてきたら、姿勢保持の秒数、セット回数を増やすより、少し難易度を上げたメニューに取り組んでください。いつも同じでは飽きてきて続きませんしね。
ショルダーヒール(1)
- 両肩、両かかとの4点で体を支えるイメージ。床につけた腕は補助する程度
- 体幹(胴体)からひざまで真っすぐなるように。ひざは90度
- この状態を8秒キープ。2~3回繰り返す
ショルダーヒール(2)
- ショルダーヒール(1)の姿勢をつくる
- 片足のひざを真っすぐ蹴りだすように伸ばす。体幹から足先まで真っすぐ
- 反対のひざは90度のまま。両足関節は90度
- この状態を8秒キープ。左右2~3回繰り返す
エルボーアウトフット(2)
- エルボーアウトフット(1)の姿勢をつくる
- 足を床と水平になるまで上げる
- この状態を8秒キープ。左右2~3回繰り返す
まずは、基本の3種類を1日5分、1か月を目標に続けてみましょう!
(参考)金岡恒治「一生痛まない腰をつくる」(高橋書店)/Paul W. Hodges,Jacek Cholewicki「スパイナル・コントロールー体幹機能と腰痛の最新科学」(ナップ)/木場 克己,佐藤 秀樹 「体幹を鍛えれば腰痛は治せる」(PHP研究所)
その他の体幹トレーニングもお試しください!
フォームローラーを使った体幹トレーニング
コロコロ転がるフォームローラーの上で、バランスを取ることで体幹に刺激を与えます。
ボディバランスドームを使った体幹トレーニング
ジムでよく見かけるボディバランスドーム。先に紹介した体幹トレーニングの負荷を高めることができます。
メディシンボールを使った体幹トレーニング
軽め(3kg)のメディシンボールを使ったトレーニングで腹筋背筋を鍛えましょう。