バランスボードは足首捻挫の予防に効果的|バランストレーニングでリスクが40%減る?
足首の捻挫はスポーツ選手の宿命
スポーツ安全協会の調査によれば、スポーツ障害の中で最も多いのが「捻挫」。
9割以上のスポーツ選手が捻挫を経験しているとも言われてます。
捻挫の中でも最も多い足首の捻挫は、スポーツ選手にとって避けて通れない怪我といっても過言ではありません。「クセ」になってしまっている選手も多いはず。
足首の捻挫は、ハードなトレーニングだけが原因ではなく、ウォーキングやジョギングでも頻繁に捻ってしまいますね。
その厄介な足首の捻挫について朗報。体幹トレーニングとしても人気のバランスボードを使って捻挫のリスクを減らせるという調査結果があります。
バランスボードを使ったトレーニングでリスク減少
米国のスポーツ医学の研究者(ティム・マッギン(Tim McGine))は、独自の調査の結果、バランストレーニングによって足首の捻挫を劇的に減らせると結論づけました。(Clinical Journal of Sports Medicine)
調査の方法を詳しく見てみましょう。
- 米国の高校のサッカーとバスケットボールの選手、765人(男523人、女242人)を対象に行われた調査です。
- 選手は2つのグループに分けられ、1つのグループのみ、様々なバランストレーニングを1シーズン行いました。
- バランストレーニングは段階的に発展する形で行われ、まずは「片足立ち」というシンプルなものから始めました
- 第三段階で、バランスボードを使ったトレーニングを行いました。最終的にはバランスボードの上に片足で立ち、(バスケットの)ドリブルや、投げられたボールを受けるトレーニングに発展しました。
この結果、シーズン中に足首の捻挫をした選手数は、バランストレーニングを行ったグループでは、行わなかったグループより40%少なかったそうです。
バランストレーニングの詳細
段階 | 表面 | 視野 | トレーニング |
1 | 地面 | オープン | 片足立ち |
地面 | オープン | 片足立ち+上げている方の足を前後・左右に揺らす | |
地面 | オープン | 片足立ち+スクワット(30-40度) | |
地面 | オープン | 片足立ち+ボールキャッチなど | |
2 | 地面 | クローズ | 片足立ち |
地面 | クローズ | 片足立ち+上げている方の足を前後・左右に揺らす | |
地面 | クローズ | 片足立ち+スクワット(30-40度) | |
3 | バランスボード | オープン | 片足立ち |
バランスボード | オープン | 片足立ち+上げている方の足を前後・左右に揺らす | |
バランスボード | オープン | 片足立ち+スクワット(30-40度) | |
バランスボード | オープン | 片足立ち+ボールキャッチなど | |
4 | バランスボード | クローズ | 片足立ち |
バランスボード | オープン | 片足立ち+上げている方の足を前後・左右に揺らす | |
バランスボード | オープン | 片足立ち+スクワット(30-40度) | |
バランスボード | オープン | 片足立ち+左右に回転させる動き | |
5 | バランスボード | クローズ | 片足立ち |
バランスボード | オープン | 片足立ち+スクワット(30-40度) | |
バランスボード | オープン | 片足立ち+左右に回転させる動き | |
バランスボード | オープン | 片足立ち+ボールキャッチなど |
1~4段階を週5回、4週間で実施。残りの調査期間は第5段階のトレーニングを週3回行った。トレーニングは片足で30秒行い、30秒休憩後、反対足で行った。
バレーボールの選手での調査結果も
また別の研究者による、バレーボールの選手を対象にした調査もあります。
バレーボールの116チーム、1,127人が対象で、こちらもバランスボードを使ったトレーニングを行ったグループと行わなかったグループに分け、1シーズンを通して足首を捻挫した選手数を比較しました。
バランストレーニングを行ったグループが「著しく(Significantly)」少なかったということですが、残念ながら、何パーセントの差があったのか、具体的な数値が出てません・・・
ひざに不安のある方は注意
こちらの調査では、バランストレーニングを行ったグループのうち、過去にひざのケガをしたことのある選手が、(再び)ひざをケガする率が高かったと報告されています。
これはひざのケガを抱える選手にとって、バランストレーニングは逆効果かもしれないと示唆してますので、注意が必要です。
バランストレーニングで足首捻挫のリスクが減る理由
バラランストレーニングで得られる、以下の2点が大きな理由として挙げられています。
- バランス感覚が向上し、地面や障害物にたいする(足の)感覚機能が発達することにより、足首をひねりにくくなる
- 足首の関節の可動域が広がり、柔らかくなることで、捻った時のダメージを和らげている
バランスボールを使ったトレーニングの特徴
- 「トレーニング」を意識することなく、勉強や仕事の合間などいつでも、どこでも乗れます
- 乗るだけで自然にバランス感覚が身に付き、体幹も鍛えられます
リハビリでの使用には専門家のアドバイスを
上記調査は足首の捻挫の「予防」という観点からの調査です。バランスボードは捻挫した後の「リハビリ」にも有効とされていますが、リハビリに使用される場合は、医師・専門家のアドバイスを受けてください。